外側大腿皮神経障害
特徴
太ももの外側部分にしびれ・痛みを生じる病気で、女性に多く、運動障害を伴わないことが特徴です。
※ただし、痛みによって足に力が伝わりにくいために走行時の違和感を自覚することがあります。
外側大腿皮神経とは?
外側大腿皮神経(がいそくだいたいひしんけい)とは、腸腰筋(ちょうようきん)を超えて鼠径靱帯(そけいじんたい)の下から筋裂孔(きんれっこう)を抜け、大腿外側面の皮下に分布する感覚枝のことで、簡単にいいますと、“腰ぼねから太ももの外側へ分布する感覚神経の名前”です。
この外側大腿皮神経は感覚神経であるために、圧迫などの障害を受けても直接的な運動障害を生じることはありません。
症状
太ももの前外側面に痛み・しびれが生じます。
立ち仕事をしているときや、歩いているときに、症状を自覚したり悪化しやすい傾向にあります。
※股関節が伸ばされた際に症状が出現・悪化し、かがむと軽減することが多いため、誤って腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)など腰椎疾患と間違われることが多いようです。
原因
✓ 矯正下着やコルセットによる強い締め付け
✓ テニスなど体の重心が外側へ移行することがあるスポーツ
✓ 足元にある重いものに気づかず足を引っかけてしまった
このほか、妊娠が原因となることもあります。
当院での治療法
腸骨筋や鼠径部において原因となっている場所を探り、その緊張を緩和していくと同時に、痛み・しびれなどの症状が実際に生じている部、およびその周辺エリアの血行を促進することで、その症状自体の軽減も図ってまいります。
実際の症例(1)
2023年4月3日/35歳/女性/会社員
右大腿部の前外側をさすりながら「右の太ももの前と横がしびれます。歩いているときに右のお尻と股関節に違和感があるんです。」
1. 腸骨筋に鍼(はり)と灸(きゅう)。
2. 鼠径部、大腿前外側面、大腿内側面に接触鍼(刺さない鍼)、マッサージを用いて筋緊張を緩和。
3. 全身の血流改善を目的に、首から足先まで按摩(あんま)・マッサージ。
4. 治療後、「何も感じないです。不思議…。」
2023年4月22日に再来院
「この前の(症状)は無かったです。今日は首と肩のコリをお願いします。」
1. 腸骨筋に若干の筋緊張がみられたため、同部位への鍼・灸を施し、残りの時間はご希望のとおり頸肩部への治療を開始した。
実際の症例(2)
2023年4月6日/80歳/男性/塗装業
「左のお尻から太ももの外側がね、しびれるんですよ。あとはね、スネの外。それと足の甲と指先。座ってるとなんともないんですよ。それがね、歩き出すとね、ブワーッと。」
1. 中殿筋と腸骨筋に鍼通電療法(電気パルス)。
2. 中殿筋に対する按摩・マッサージによって筋緊張を緩和。
3. 腓骨筋群から足先までマッサージ。
4. 治療中、「スネ(の外側の痛み)がなくなってきたよ…。」
2023年4月13日に再来院
「前回のあと、5日くらい良かったんですよ。ただね、昨日がつらかった。杖をついて歩いてた。」
1. 前回と同じ治療法。
2023年4月20日に3度目のご来院
「本当に良くなった。昨日と今日は痛いけれどね。それまで本当に楽。」
1. これまでと同じ治療法。