眼瞼下垂
特徴
眼瞼(がんけん)とは、“まぶた”のことをいいます。
つまり、眼瞼下垂は
『まぶたが黒目の高さまで垂れ下がった状態』
であるために、
- ✓ 視界の上部がまぶたで遮られて見えにくい
- ✓ 外出中にまぶしいと感じる
- ✓ 頭痛
- ✓ 肩こり
- ✓ 眠そうな印象を与える
などの症状を生じます。
原因
眼瞼下垂を引き起こす原因の多くは、
- ✅ 加齢による筋肉の衰え
- ✅ 長期的なまぶたへの刺激による腱の損傷
とされています。
『長期的なまぶたへの刺激による腱の損傷』とは、
コンタクトレンズの着脱や、花粉症やアレルギーによって目をこすることなどにより、まぶたの裏側へ与える慢性的な刺激のことです。
このほか、神経疾患や先天的な疾患も原因のひとつとなります。
当院での治療法
眼瞼挙筋(がんけんきょきん)という筋肉があります。
文字どおり“まぶたを挙げる筋肉”つまり、【開眼(目を開く)するための筋肉】です。
そして、開眼にはもうひとつ筋肉が関与しています。
『前頭筋(ぜんとうきん)』です。
※前頭筋
- 起始…帽状腱膜(頭頂部を覆っている薄い結合組織の膜です)
- 停止…眉間と眉の皮膚
- 支配神経…顔面神経
- 作用…眉を引き挙げる、額に横しわをつくる
当院では、この前頭筋にアプローチすることで、開眼をしやすくするお手伝いをさせていただいております。
前頭筋に存在する経穴(ツボ)で、実際に当院での治療に用いている一部をご紹介します。
- 攅竹(さんちく)…眉毛内端。
- 眉衝(びしょう)…眉毛内端のまっすぐ上で髪の生え際を超えたところ。
- 曲差(きょくさ)…眉衝のやや外側。
- 陽白(ようはく)…眉毛中央の少し上。
上記は一部ですが、前頭筋の気血循環促進を目的に、これらにアプローチを行っています。
また、前頭筋に対してオイルマッサージと温熱効果を施し、さらに健やかな状態を目指してまいります。
実際の症例(1)
2022年5月14日/82歳/女性
「30年前に顔面神経麻痺をして、それ以来ずっと眼瞼下垂。すっごくうっとうしいわね。これまで眼瞼下垂の手術を2度してるけどダメ。本当にうっとうしいの。」
目はおよそ半分以上閉じているようにお見受けする。
- 『陰虚による陽亢』を鎮めるため、『腎』に属する経穴(ツボ)に鍼と灸。
- 前頭筋に属する経穴に灸。
- 前頭筋にオイルマッサージと温熱療法。
- 治療後、「まだわからないけど続けてみようかしら。」
翌週の2022年5月20日に2度目のご来院。
「(眼瞼下垂は)良かったわよ。今日あたり戻ってしまった感じだけど。昨日まで良かった。」
- 前回と同じ治療法。
- 治療後、「これがマシになるなら助かるんだけど。」
翌週の2022年6月4日に3度目のご来院。
「目はやっぱり楽ね。引き続きお願いしたいわ。」
- これまでと同じ治療法。
- 現在も治療継続中。
2022年8月28日に7度目の治療
「先生、(ご自身の目を指差しながら)ちょっと見てください、これ!(眼瞼下垂が)良くなったんですよ!今日はね、これを報告しにきましたの(笑)
おかげさまで本当に楽になりましたわ。もう左右変わらないですよ。今日はね、ひざが痛いのでお願いしたいわ。」
- 眼瞼下垂の治療は行わず、腰部から膝、足先にかけての治療を実施。
- 治療後、「来週予約してまた来ます。これからはひざをお願いします。」
実際の症例(2)
2022年5月20日/89歳/男性
「過去に行った眼瞼下垂の手術のせいなのか、すぐに目が疲れる。まぶたが落ちてきやすいような気がするんです。気のせいかも知れませんが。」
- 『肝血虚』がみられるため、『肝』と『血』に属する経穴(ツボ)に鍼と灸。
- 前頭筋に属する経穴に灸。
- 前頭筋にオイルマッサージと温熱療法。
- 治療後、「楽なような気もしますね。」
翌週の2022年5月25日に2度目のご来院。
「(前回の治療効果は)よくわかりませんが、何度かやってもらえば変わるかも知れませんね。」
- 前回と同じ治療法。
- 治療後、「ちょっと違いますね。」
翌週の2022年6月1日に3度目のご来院。
- これまでと同じ治療法。
- 治療後、「やるとやらないでは違いますね。」