自律神経失調症

特徴

脳は、神経と呼ばれる電線のようなものによって身体のさまざまな部分と繋がっています。
脳はこの神経を使って身体へ指令を出したり、逆に身体からの情報を収集したりしているのです。

神経には、脳と脊髄からなる中枢神経と、身体じゅうに張り巡らされた末梢神経とがあり、さらに末梢神経は、痛覚・触覚・視覚などの情報を中枢神経に届けるための知覚神経と中枢神経から身体を動かすための命令を伝える運動神経とで構成される体性神経と、興奮や緊急時に優位となる「交感神経」と、リラックスや睡眠時に優位となる「副交感神経」とで構成される「自律神経」に分けられます。

私たちの身体は、私たちの知らないうちに交感神経と副交感神経のバランスをうまく使いながら、血圧、呼吸、心拍、内臓運動などを調整してくれています。
このように一定の状態を維持しようとする働きのことをホメオスタシスといい、この働きが無くなってしまうと、私たち人間は死に至ります。
私たち人間が眠っている間も呼吸が出来ていたり、心臓や胃腸が働いてくれているのは自律神経のおかげなのです。

自律神経失調症とは、この自律神経のバランスが崩れることで起こるさまざまな症状のことをいいます。
その症状は多岐にわたり、不眠、だるさ、頭痛、動悸、息切れ、めまい、立ちくらみ、便秘、下痢などが挙げられます。
また、精神的症状として、イライラ感、不安感、うつ、情緒不安定などがみられる場合もあります。

原因

夜更かし、夜間勤務や、不規則な生活習慣など、人体が持つ本来のリズムを無視したライフスタイルや、人間関係や仕事などによるストレス、甲状腺ホルモンの過不足や女性ホルモンの変化などホルモンの影響も原因となります。

当院での治療法

脊柱の左右を頭蓋骨の底面から尾骨にかけて「交感神経幹」と呼ばれる交感神経の太いパイプが走っています。そして、ほとんどの内臓神経は、この交感神経幹から起始しているのです。
当院では、交感神経幹にアプローチすることで、自律神経のバランス(交感神経と副交感神経との調和)を図ってまいります。

実際の症例(1)

2022年3月4日/74歳/男性
「胃腸の調子が悪い。食べられないし、食べても太れない。どんどん瘦せていく。とにかくお腹が張るというか、重いというか、例えようのないつらさがある。」

  1. 腹部に存在するいくつかの経穴(ツボ)に灸。「温かさも何も感じない。」
  2. 消化・吸収をつかさどる『脾』に属する経穴に鍼。
  3. 全身の気血循環を目的に、全身的なあん摩・指圧・マッサージ。


2022年3月11日に2度目の治療。
「少しはマシかなーという程度。もう少し続けて欲しい。」

  1. 前回と同じ治療法。

2022年3月18日に3度目の治療。
「あれ(前回の治療)から良くなってきたよ。もう少しだな。」

  1. これまでと同じ治療法。

2022年4月3日に5度目の治療。
「(胃腸の調子が)良くなったよ。今日から腰をお願いしようかな。」

  1. 『脾』に属する経穴も用いながら腰の治療を実施。

実際の症例(2)

2022年4月23日/32歳/女性 
「とにかく足が重いです。うまく言えませんが、血液が重いような気がするんです。」 触診にて右半身に『虚』(気が不足している状態)、左半身に『実』(気が過剰な状態)がみられたため、左右の『気』のバランスを整えることをご提案。

  1. 鍼(はり)、灸(きゅう)を用いて右下肢に『補法』(不足を補う)、左下肢に『瀉法』(不要を取り除く)。
  2. 背腰部、大腿後面、下腿後面に鍼、灸、オイルマッサージ。※途中で「足に血がめぐり始めた気がします!」
  3. 全身の気血循環を目的に、全身的なあん摩・指圧・マッサージ。 

2022年5月8日に再来院。
「前回から1週間はとても楽でした!でも今週月曜からまた重くなり始めちゃいました。」

  1. 前回の治療法に、腹部への灸を追加。
  2. 治療中、「(足に気血の流れが)来ました!これでまた楽になれます。」

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