ランナー膝(腸脛靭帯炎)

特徴

長時間のランニングを行ったとき、膝の外側に痛みを生じる疾患です。
必ずしもランニングだけが原因だとは限りませんが、ランニングでよく生じるために、「ランナー膝(IT Band Friction Syndrome)」と呼ばれています。

初期段階では、ランニング中に痛みを発症するも時間経過とともにおさまっていきますが、次第におさまらなくなり、さらに悪化すると、日常生活にも影響を与えることがあります。

主な症状は、膝の外側やや上部の大腿骨外側上顆結節部に生じる痛みです。
長距離ランナーが練習量を増やした、普段あまり運動をしない方が急にランニングを始めた、マラソン大会への参加頻度が増えたなど、膝への負荷が増えた時期に発症します。
また、臨床上、O脚でお悩みの方にも見受けられます。

原因

ランニングをはじめとする膝の屈伸運動を繰り返すことにより、腸脛靱帯が大腿骨外側上顆と擦れて炎症を起こし、痛みが生じます。
また、O脚の方も、腸脛靭帯と大腿骨外側上顆とが擦れやすいために痛みを訴えることがあります。

腸脛靭帯は、腸骨(骨盤にある大きな骨)に起始し、太ももの外側を下って脛骨(スネの骨)に付着する筋肉なのですが、上部ではお尻の筋肉(大殿筋や中殿筋)と股関節の外側の筋肉(大腿筋膜張筋)とつながっています。
これら大殿筋、中殿筋、大腿筋膜張筋は腸脛靭帯炎と深い関係があります。
長期間にわたる緊張によって短縮してしまうと、その先にある腸脛靭帯が常に引っ張られて過剰なストレスを受けることになります。

また、大殿筋、中殿筋、大腿筋膜張筋の機能が低下してしまうと、その役割を腸脛靭帯が代償的に担うことになり、同様に過剰なストレスを受けます。

このほか、足関節の状態異常でも腸脛靭帯炎が起こりえます。
ランニングなどにおいて足関節の回内位で着地しますと、脛骨が内旋し、それに伴って大腿骨も内側へ倒れ込みますために腸脛靭帯が引っ張られ、やはり腸脛靭帯に負担を強いることになります。

当院での治療

腸脛靭帯に過剰なストレスを与えている原因を探り、ひとつずつ解決していきます。
中でも、大殿筋、中殿筋や大腿筋膜張筋に強い緊張が認められる方が大半です。
この場合は、はり・指圧・あん摩などを用いて、左右のバランスを整えることからスタートします。
また、ご家庭でセルフケアを行っていただけるよう、アドバイスをさせていただくこともございます。

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