尺骨神経麻痺
特徴
尺骨神経は、前腕(肘から手首まで)の小指側、くすり指、小指の感覚のほか、指や手首を曲げるなど多くの筋肉をも支配しています。
その尺骨神経が損傷を受けることで、巧緻運動障害(細やかな運動が難しくなること)や、手をコントロールできずに鷲手(まるで鷲の手のように指先だけ屈曲した状態)がみられます。
尺骨神経麻痺は、その損傷部位によって次の2つが挙げられます。
- A. 肘部管(ちゅうぶかん)症候群…尺骨神経が肘の内側で圧迫、もしくは引っ張られたりすることで発症します。
症状といたしましては、
◎くすり指・小指の手のひら側にしびれや痛みがある
◎握力の低下
◎ボタンを留める、文字を書く、お箸を使うなど細やかな運動が難しい(巧緻運動障害)
◎鷲のように指先だけが曲がった状態になる(鷲手)
などが挙げられます。などが挙げられます。 - B. ギヨン管症候群(尺骨神経管症候群)…ギヨン管とは、
有鈎骨と豆状骨の間で尺骨動脈と尺骨神経が通るトンネルの名前です。
そして、このトンネル内で尺骨神経が圧迫されることでいくつかの症状を発症させるものをギヨン管症候群、または尺骨神経管症候群と呼んでいます。
症状といたしましては、
◎くすり指・小指にしびれや痛みがある
◎手首を深く曲げたときにしびれや痛みが強くなる
◎尺骨神経管を軽く叩いたときにチクチクとした痛みを生じる(ティネル徴候)
などが挙げられます。
原因
- A. 肘部管(ちゅうぶかん)症候群…手のケガ・骨折、ガングリオンによる圧迫をはじめ、仕事やスポーツによる肘や手の使いすぎなどにより、痛み・知覚異常・筋力低下などの症状を引き起こします。
- B. ギヨン管症候群(尺骨神経管症候群)…最も多いガングリオンによる圧迫をはじめ、手のケガ・骨折や仕事などで肘や手の使いすぎのほか、長時間のサイクリングなどによる手首への圧迫も原因のひとつとして挙げられます。
当院での治療法
原因箇所の近くの筋肉に機械的刺激を与えて血行の促進、栄養状態を向上させることで、機能回復を図ってまいります。
肘部管症候群で用いる代表的な経穴(ツボ)は
・小海(上腕骨の内側上顆と肘頭との間に位置します)
ギヨン管症候群では
・神門(手首のシワの上で、尺側手根屈筋腱の親指側に位置します)
となります。