斜角筋症候群
特徴
胸郭の出口付近において腕や肩の運動・感覚に関与する神経と動脈が障害を受け、
肩、腕、手のしびれや痛み、細やかな運動が難しくなるなどを自覚する状態を総称して胸郭出口症候群といいます。
その胸郭出口症候群のうち、前斜角筋もしくは中斜角筋、あるいはその両方の過緊張によって
斜角筋隙を通る神経と動脈を圧迫し、症状をきたすものが『斜角筋症候群』です。
斜角筋隙とは、首筋に並ぶ前斜角筋と中斜角筋との隙間のことをいいます。
この隙間に腕神経叢と鎖骨下動脈という大変重要な神経と動脈が通っているのですが、
何らかの理由で斜角筋が過緊張して肥大することで斜角筋隙が狭くなり、神経と血管を圧迫して痛みや痺れを生じます。
症状
✔ 腕から指先にかけてしびれや痛みがある。
✔ 腕が重だるい。
✔ 握力の低下。
✔ ボタンの着脱など、細やかな動作が難しい。
✔ 息苦しいことがある。
✔ 四十肩・五十肩のような肩の痛みがある。
✔ 鎖骨のやや下が痛い。
✔ 上腕外側(二の腕の外側)が痛い。
✔ 肩甲骨の内側が痛い。
原因
斜角筋は頭の動きに対応して首を支える役割を担っているため、不良姿勢によって負担を受けます。
長時間のスマートフォンやパソコン作業は、斜角筋に大きな影響を与えやすい例として挙げられます。
また、重いものを持ち上げる動作を繰り返し行うことも原因となります。
このほか、呼吸が原因になることも注意すべき点です。
斜角筋は呼吸補助筋であり、吸気(息を吸う)の際に第1・2肋骨を持ち上げる作用があります。
したがいまして、くしゃみ、咳、激しい呼吸などが続きますと、斜角筋に大きな負担をかけることとなり、
一見、斜角筋との関連性のない動作や運動でも、呼吸によってダメージを与え続けていた…
ということも十分にありえるのです。
当院の治療法
鍼、灸、指圧、マッサージなどを用いて前斜角筋と中斜角筋の緊張を
緩和することで、症状の原因となっている神経(腕神経叢)と動脈(鎖骨下動脈)への圧迫を軽減していきます。
また、斜角筋のストレッチ方法をご説明し、実際に行っていただいております。
以下は、普段ご自宅でも行える簡単なものですので、気になる方は是非試していただければと思います。
≪斜角筋ストレッチ≫
①手や腕に症状がある反対側にゆっくりと顔を向けます。
②さらに、息をゆっくり吐きながら頭を外へ側屈させます。(症状がある反対側の耳の方向へ倒します)
③これを毎日5回ずつ行います。
※筋膜は『息を吐くときに緩む』とされています。上記②を行う際は、息を止めず、ゆっくりと吐きながら行うように心掛けてください。