四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)

特徴

腱板の損傷など器質的な病変が見当たらないにも関わらず痛みを訴える症状を「四十肩」「五十肩」と呼んでいます。

四十肩・五十肩は、【急性期】→【慢性期】→【回復期】という順番で変化するとされています。

【急性期】…まず最初に睡眠中に目が覚めるほどつらい痛みに襲われる時期が訪れます。
【慢性期】…次に、痛みは減るも肩関節外転(腕を横に挙げていく動き)をはじめ、結髪動作(後ろ髪を結ぶ動き)、結帯動作(エプロンの紐を結ぶ動き)などができにくくなるといった可動域の制限を受けます。
【回復期】…最後に、可動域の制限も徐々に解除されていきます。

しかしながら、多くの四十肩・五十肩の患者様を診させていただいておりますと、この教科書のような順番に沿って進んでいく方は実際多くはありません。
発症当初から痛みはさほど強くない方もいらっしゃいますし、激しい痛みが1年以上も続いて大変な思いをされてきた患者様もおられます。

原因

現時点では、はっきりとした原因は解明されておりません。

対処

睡眠中に痛みをなるべく発生させないための準備をおすすめしています。
仰向けでおやすみになる方には、痛い側の肩、もしくは肘の下にクッションを入れると良いでしょう。
横向きでおやすみの方には、痛くない側を下にし、背中に大きめのもの(枕やクッションなど)を置かれることをおすすめいたします。

当院での治療法

上述のように、四十肩・五十肩の症状は患者様によってさまざまです。
急性期・慢性期・回復期のうち、どれに該当しているかによっても治療法が変わります。
問診において症状やお悩みをしっかりお聞きし、患者様お一人おひとりにあった治療を行ってまいります。

実際の症例(1)

2022年1月12日/51歳/男性/会社員
「2週間前から急に左肩が痛くなり、カーテンを開けることすらできなくなった。
はりきゅうをした経験がなく不安だが、友人がここ(当院)を勧めたので来た。」
→左腕を背中に回せず、お尻を触るのが精一杯。挙上は水平より上に挙げることができない。

  1. 左小指の付け根、手首、肘、腕、肩、首に存在する複数の経穴に鍼と灸。
  2. その後、オイルマッサージ。
  3. 気血循環を目的に、全身的なあん摩・指圧・マッサージ。
  4. 治療後、腕を頭の上まで挙げることができたが、痛みは残る。

2022年1月21日に2度目のご来院。
「翌朝、少し痛みが弱くなったので続けてみようと思う。」と再来院。

  1. 前回と同じ治療法。
  2. 治療後「まだ痛みはあります。」

2022年1月31日に3度目のご来院。
「服の着替えが少し楽になってきました。」

  1. 今までと同じ治療に加え、三角筋・棘上筋・棘下筋・大円筋・小円筋への電気パルス(低周波治療器)を追加。
  2. 治療後、左手で背中を触れるようになった。

2022年2月8日に4度目の来院。

  1. 前回と同じ治療に加え、左肩関節の可動域拡大のための運動法をアドバイス。
  2. 治療後、左手で右の肩甲骨を触れるようになった。

2022年3月8日に7度目のご来院。
「もうほとんど痛みもありません。」

  1. 今までと同じ治療法。
  2. 治療後、可動域は正常で痛みも感じないため、治療を終了。

実際の症例(2)

2022年3月30日/70歳/女性
「昨年8月に自宅で転倒し、左肩を骨折。11月には完治したが、次第に別の痛みが出始めて、整形外科に行ったら五十肩だと診断された。」
→左腕を背中に回せず、腰あたりを触るのが精一杯。挙上は水平より上に挙げることができない。三角筋の中部繊維に激しい圧痛がある。

  1. 三角筋に鍼通電療法(低周波治療器)を実施。
  2. 肩回りをはじめ、手のひらの外側など、肩の痛みに対応した経穴(ツボ)に鍼と灸。
  3. 肩から腕にかけてのオイルマッサージと首への按摩。
  4. 気血循環を目的に軽めの全身的な按摩マッサージ。
  5. 治療後、左腕が背中に届くも痛みがあるとのこと。

2022年4月9日に2度目のご来院。
「夜中の痛みがおさまったわ!もっと早く来てれば良かったのにね。」

  1. 前回と同じ治療法。
  2. 治療後「少し動くようになった気がする。」

2022年4月18日に3度目のご来院。
「あれから夜中の痛みはないよ。でも、目が覚めちゃうね。クセなんだろうね。」

  1. 今までと同じ治療法。

2022年6月8日に6度目のご来院。
「痛みがおさまったわ。今まで何してたんろうね。」

  1. 今までと同じ治療法。
  2. 治療後、可動域も十分で痛みも感じないため、治療を終了。

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