坐骨神経痛

特徴

坐骨神経は私たち人間の体で最も長い末梢神経で、腰部からお尻、太ももの裏、ひざの裏、ふくらはぎ、足先へと伸びています。
また、太さにおいても一番です。私が学生時代、大学病院でご献体を解剖させていただいた際、教授に「この“うどん”のようなものは何ですか?」と質問し、それが坐骨神経だと知った時の衝撃をいまだに覚えています。

この長く太い坐骨神経は腰からお尻、太ももを通ったあと、さらに総腓骨神経(膝の外側からスネの外側を通って足の甲へ伸びる神経)と脛骨神経(膝裏から下って足底へ伸びる神経)に分かれるため、坐骨神経に何らかの問題が生じた際、お尻から足先にかけて症状を発生してしまうのです。

坐骨神経痛の症状は、まるで電気が走ったかのような痛みやしびれ、麻痺などが挙げられます。
このような症状を坐骨神経痛といい、坐骨神経痛は疾患名ではありません。

坐骨神経痛でお悩みの患者様はそのほとんどにおいて、腰痛をお持ちです。
腰の痛みのあと、坐骨神経痛の症状が現れはじめ、お尻や太もも、ひざ、足先へ拡がっていきます。
まれに歩行障害をきたす場合もあります。

原因

坐骨神経痛の原因といたしましては、第4腰椎と第5腰椎との間、第5腰椎と第1仙椎との間の腰椎椎間板ヘルニアや、脊柱管狭窄症によるものが大半を占めます。
ほかには、変形性腰椎症、すべり症、梨状筋症候群などにみられることもあります。

当院での治療法

当院では、坐骨神経痛には現代医学的なアプローチが効果的だと考えています。
まずは中枢神経へ鎮痛作用を働きかけることを目的に、頭部や背骨のラインに存在する経穴(ツボ)に鍼(はり)治療を行います。
次に、腰部をはじめ、坐骨神経の通り道となりますお尻、太もも、ひざ裏、ふくらはぎ、足の甲や足底などに散らばる代表的な経穴や、股関節や太ももの外側などの実際に痛む場所に鍼や灸のほか、赤外線治療器を用いながら治療を進めてまいります。
また、必要に応じてあん摩、指圧、マッサージ、オイルマッサージも行っています。

実際の症例(1)

2021年11月7日/79歳/女性
5年前に脊柱管狭窄症と診断され、1週間前から坐骨神経痛に悩まされている。
起床時に左のお尻から太もも、ふくらはぎ、スネの外側まで約20分ほど涙が出るほどの激痛。
毎朝必ず激痛に襲われるため、夜眠りにつくのが怖い。
腰からお尻にかけて存在する代表的な経穴(ツボ)に鍼(はり)と灸(きゅう)。

  1. その間にひざから足先までオイルマッサージ。
  2. 続いて背中から腰にかけてオイルマッサージ。
  3. 最後に左のお尻から太ももにかけて指圧を行う。

翌週となる2021年11月14日に2度目のご来院。

  1. 前回と同じ治療。
  2. 治療後、「軽くなりました。」

翌週となる2021年11月21日に3度目のご来院。
「ここのところ、目が覚めたときの嵐(坐骨神経痛の激痛のこと)の時間が短くなりました。」
時間をお聞きすると「詳しく計っていないけど、でも短いのは短いですね。」

  1. これまでの治療に加え、お尻への指圧をさらに入念に行った。
  2. 治療後、「やってもらうと足が軽くなるんです。」

2021年12月5日に4度目のご来院。
「朝の嵐(坐骨神経痛)がほぼ無くなってきました。今朝なんてちょっとピリッとしたくらい。」
嵐の時間をお聞きすると「詳しく計っていないけど、でも短いのは短いですね。」

  1. 前回と同じ治療。

2022年1月30日に8度目のご来院。
「今朝も何も起きなかったです。でもね、肩こりがあるんです。今日から肩を診てもらえますか?」

  1. これまでの治療法の一部を継続しながら、首から肩にかけての治療を行う。

実際の症例(2)

2022年5月15日/32歳/女性
「以前から太ももの後面や外側、足先に軽くしびれがあったけど気にせずにいたら、
今朝目が覚めると同時に強めの痛みがありました。特にスネの外側が痛くて怖かったです。」

  1. 腰部、梨状筋(お尻の筋肉)に鍼(はり)と灸(きゅう)と赤外線治療器を用いる。
  2. その間に前脛骨筋(スネの外側の筋肉)に通電鍼療法(低周波治療器)。
  3. うつ伏せの姿勢で背中から腰、太ももの後面、ふくらはぎ、足首にかけてあん摩・マッサージ。
  4. 治療後、「スネの外側の痛みが消えました!」

翌週の2022年5月21日に2度目のご来院。
「スネの外側の痛みはなくなりました!でも右は太ももの前と外側が、左は太ももの後面に
痛みがあってつらいです。」
触診したところ、右のお尻(仙骨の右外縁あたり)にとても強い圧痛がみられた。

  1. 前回の治療に加え、仙骨の右外縁、大腿前外側に鍼と灸。
  2. 次に、右大腿前面と外側面、左大腿後面にオイルマッサージ。
  3. 治療後、梨状筋ストレッチと中殿筋の筋力トレーニング法を指導させていただいた。

2022年5月28日に3度目のご来院。
「目覚めたときの嵐(起床時に痛む坐骨神経痛の症状のこと)はなくなりました。でも、地味にずーっとしびれている感じです。」
梨状筋を確認したところ、ストレッチは毎日続けてくださっているようで、少しではあるが筋緊張の緩和がみられた。

  1. 前回と同じ治療法。
  2. 治療後、「今はしびれがありません!お尻のところ(仙骨の右外縁)に違和感があるくらいです。」

2022年6月17日に5度目のご来院。
「この1週間、足のしびれが無かったんです!」

  1. 前回と同じ治療法。
  2. 治療後、「今はしびれがありません!お尻のところ(仙骨の右外縁)に違和感があるくらいです。」

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