寝違え

特徴

朝の起床時、首が痛くて動かせないことがあり、これを「寝違え」と呼んでいます。
骨の異常などのようにX線検査でとらえられるような変化がほとんどみられません。
ただし、発熱や手足にも痛み・しびれが生じる場合は、他の疾患の可能性が考えられますので早急に専門医への受診をお願いいたします。

原因

寝違えは、首まわりの筋肉や腱、筋膜、靱帯に急性の炎症が起きているとされています。
私たち人間は、寝ているときの姿勢が苦しくなると無意識に寝返りをして首への負担を軽減します。
しかし、過労などで疲労が蓄積された状態や、お酒に酔った状態での睡眠は、寝返りが少なくなってしまい、不自然な姿勢での睡眠となってしまいがちです。
これにより、首の筋肉が阻血(そけつ:血液が不足すること)状態に陥り、寝違えの原因となります。

寝違えてしまったら・・・

寝違えが起こってしまったら、まずは安静です。
痛い方向に動かすことは避けましょう。
ご自身でのストレッチは、そのほとんどが有効ではありますが、痛みを伴いながらのストレッチは悪化させることもございます。
痛みが続く場合は、お近くの整形外科や治療院への受診をおすすめいたします。

当院での治療法

まずは、どのような状態であるかをしっかりと診させていただきます。
場合によっては、治療を行わずに専門医への受診をすすめさせていただくこともございますのでご了承ください。

手の甲に『落枕(らくちん)』という名前の経穴(ツボ)があります。
寝違えの特効穴であり、当院でも必ず用いています。
実は、東洋医学では寝違えのことを落枕と呼んでおりまして、その名のとおり、寝違えてしまったときの治療点が『落枕』というわけです。

当院での寝違えの治療は、『落枕』に指圧をするところからスタートします。
その後、横になっていただき、頭、首、肩、背中、腰の筋緊張を緩和してまいります。
また、必要に応じて鍼通電療法(低周波治療器)を用いることがあります。
次に、血流改善を目的に、全身的な按摩(あんま)やマッサージ、オイルマッサージを行っていきます。
そして最後に運動法やストレッチのあと、再度、『落枕』への指圧を行い、治療前との変化を感じていただくといった流れになります。

実際の症例(1)

2022年5月21日/39歳/女性/事務職
「一昨日に寝違えました。昨日の朝、ベッドから起きるときにピキッと音がなったような感じでとても痛いです。特に右が痛くて…。」
右の背中にとても強い筋緊張がみられたため、全身的なアプローチを行う旨をご説明。

  1. 手の甲にある『落枕』という経穴に指圧。右の『落枕』に痛みを感じたとのこと。
  2. 肩頸部の筋緊張がみられる部位に鍼(はり)、灸(きゅう)、按摩(あんま)。
  3. 続いて頭部に按摩・指圧。
  4. 背中から腰にかけて鍼、灸、按摩、オイルマッサージ。
  5. 再び『落枕』に指圧。『落枕』への痛みを感じないとのこと。
  6. ストレッチ後、「えっ、痛くない…。(首が)楽になりました!」

実際の症例(2)

2022年5月23日/40歳/女性/看護師
「2日前の夜中、子供が私たちのベッドに入ってきて、私の枕を取っちゃって。それでぬいぐるみを枕にして寝てしまったようで、朝起きたら寝違えてました。どっちも痛いけど、どちらかと言えば右側が痛いです。
2日前は仕事は休みでしたが、昨日と今日は呼ばれても身体全体で振り返るように気を付けてました。」
右の梨状筋(りじょうきん:お尻の外側にある筋肉)にとても強い筋緊張がみられた。

  1. 手の甲にある『落枕』という経穴に指圧。右の『落枕』に「歯を食いしばるほど痛いです!」
  2. 肩頸部の筋緊張がみられる部位に鍼(はり)、灸(きゅう)、按摩(あんま)。
  3. 続いて頭部に按摩・指圧。
  4. 背中から腰にかけて鍼、灸、按摩、オイルマッサージ。梨状筋には按摩、指圧。
  5. 再び『落枕』に指圧。「さっきと全然違います!少し痛いけど全然マシ。」
  6. 治療後「首が楽になりました!腰が軽い!」

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